(2017年3月)2016年度最優秀卒論賞を授与
同窓会では2010年定例総会の決定に基づき、卒業を迎える在学生に
毎年「奨学金」(「最優秀卒論賞」)を授与しており、2016年度(第7回目)も
授与させて頂きました。
この「奨学金」の制度が今後も在学生の皆さんの励みとなってくれることを願っています。 |
(第65期 新卒業生の皆さん) (+) 画像拡大
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卒業論文審査について | 橋川健竜(教養学部准教授) |
アメリカ科では英語による卒業論文は必修であり、また学生にとっては駒場での 勉学の集大成でもあります。 今年の卒業論文提出者は3名で、1月末に教員、 4年生および下級生が参加して、口述審査会が行われました。 今年は特に優秀な論文1本に最優秀卒論賞を授与することになり、 同窓会のご厚意により 昨年に引き続いて奨学金も授与することができました。 卒業生の皆様のご配慮に、 改めて感謝申し上げます。 以下は最優秀卒論賞を受賞した中塚麻実さんによるお礼の言葉と論文要旨です。 |
中塚 麻美(なかつか あさみ) |
この度は、最優秀卒業論文賞を頂き、誠にありがとうございます。 アメリカ科同窓会の皆様に心より御礼申し上げます。このような栄誉ある賞を 頂けたことを大変光栄に思います。今後も、アメリカ科で学んだことを活かして 就職先でより一層精進して参りたいと思います。 |
The Heritage Movement and the Significance of Nostalgic Images in Disneyland (ヘリテージ運動とディズニーランドにおけるノスタルジック・イメージ) ディズニーランドは、カリフォルニア州アナハイムに1955年7月にオープンして以来、 アメリカで最も人気のある観光地の一つとして多くの人々を魅了してきた。 アメリカ文化におけるその存在感の大きさから、ディズニーランドに関して、 とりわけ園内の建物やアトラクションのテーマ設定に見られる過去志向性や ノスタルジックなイメージについて、多くの研究がなされてきた。 しかしながら、それらの研究はディズニーランドそのものだけに焦点を絞ったものであり、 同時代の他の歴史公園や史跡など(heritage sites)との関係を論じたものは少ない。 第二次世界大戦後、生活様式や価値観の変化や冷戦の緊張感によって社会全体で不安感が増し、 自国の伝統や歴史への興味・関心がアメリカ社会で高まった。この時期、テレビや雑誌でアメリカの 「過去」をテーマにしたものが盛んに作られるとともに、コロニアル・ウィリアムズバーグを はじめとする多くの博物館や歴史公園、史跡などが市民に人気を博していったのである。 この動きのことを「ヘリテージ運動」と呼ぶ。本論文では、ディズニーランドをこの運動の中で 捉えることで他の歴史公園などとの類似点・相違点を明らかにするとともに、ディズニーランドの ノスタルジックなイメージの文化的意義を明らかにすることを試みた。 本論文では、①国の過去に対して、②個人の過去に対して、という2種類のノスタルジアについて、 個々のアトラクションを取り上げ分析した。国の過去に関わるアトラクションとしては、南北戦争という 国難を取り上げたGreat Moments with Mr. Lincolnと20世紀における家事の機械化を賞賛する Carousel of Progressを、個人の過去に関わるアトラクションとしては、世紀転換期の中西部の街並みを 理想化して提示したMain Street, U.S.A.と子供時代に誰もが見た「ディズニー映画」に基づく Snow White’s Scary Adventuresを取り上げた。 ディズニーランドでは、他の史跡・歴史公園と同様に、あるテーマ・目的のために 選択され理想化された過去が描かれ、ナショナルな価値観が賛美される一方で、それらは 「真正性(authenticity)」を伴わない「エンターテイメント」として大衆に消費される。 また、特にアメリカ人の集合的記憶としての子供時代を描き、またその記憶それ自体となることで、 大衆に強い共感を呼びナショナルな連帯を生み出す場となっているのである。 |
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