« 定例総会開催日に関するアンケート結果 | メイン | 周年幹事会を開催 »

2012年4月24日 (火)

2011年度最優秀卒論賞を授与

2012年3月16日 周年幹事会
(新卒業生の皆さん)
(+) 画像拡大

2010年の定例総会で在学生に対し「奨学金」を授与することを決定し、昨年第1回の「奨学金」が最優秀卒業論文に対する賞金という形で実現しました。今年も昨年と同様な形で授与しましたが、今後ともこの「奨学金」が在学生にとって少しでも励みになることを願っています。


今年はアメリカ科の第60期卒業生として10人が巣立ちました。60年間の卒業生(大学院を除く)は合計539人を数えますが、新卒業生が諸先輩の方々と同様、今後様々な分野で活躍されることをお祈りいたします。


賞金の授与に関して、能登路雅子さん(20期)と受賞者の山下恵理子さんから、以下のような言葉が寄せられました

アメリカ科最優秀卒業論文賞について
教養学部教授 能登路雅子
アメリカ科では英語による卒論は必修であり、また学生にとっては駒場での勉学の集大成でもあります。今年の卒論提出者は10名で、1月末に教員、4年生および下級生が参加して、口述審査会が行なわれました。昨年に引き続き、同窓会のご厚意による賞金も授与することができました。卒業生の皆様のご配慮に、改めて感謝申し上げます。
 以下は最優秀卒論賞を受賞した山下恵理子さんによるお礼の言葉と論文要旨です。

山下恵理子
この度は、最優秀卒業論文賞を頂き、誠に有難うございます。アメリカ科同窓会の諸先輩の皆様に深く御礼申し上げます。このような栄誉ある賞を受賞でき、大変光栄に思います。今後ともアメリカ科で学んできた経験や知識を活かし、社会人として日々精進して参りたいと存じます。


Tribal Survival: Skull Valley Band of Goshute Indians’ Pursuit of Tribal Sovereignty
(部族としての存続:スカルバレーのゴシュート・インディアンにおける部族主権の追求)

今日、居留地に住む多くの先住民部族は貧困や高い失業率により、厳しい生活を強いられている。それ故、居留地からの人口流出が進み、一つの部族としての存続が危ぶまれている。こうした危機に陥っている部族として、ユタ州に住むスカルバレー・ゴシュート部族を取り上げた。経済開発による貧困脱却を目指し、部族政府は自らの居留地に核廃棄物施設を誘致する決断をした。しかし、この決断は部族内部からの反発を招き、部族内分裂を引き起こすこととなる。この対立は「経済開発か文化伝承か」という二項対立で論じられる傾向にあるが、実は「部族内部において、誰が部族自治権を行使する主体なのか」という部族自治権問題がその根本にある。迷惑施設誘致賛成派と反対派の両者共、それぞれ部族の存続における部族自治権の重要性を認識している一方で、その定義・行使方法を異にしている。両者とも意見を擦り合わせ、歩み寄ることなく、部族内部において部族自治権行使の権利獲得を巡り対立を深めているのである。

しかし、皮肉なことに部族自治権は連邦・州・郡政府、民間電力会社等の外部勢力によって常に侵されてきたのであり、実際には部族自治権の行使は実現されたことがないと言える。それでもなお、部族内部分裂を招きながらも部族自治権を追求し、その実現を目指すという点にこの先住民問題の複雑さが表れている。部族自治権の行使による部族の存続という共通の目標に向かって邁進する過程で、部族の一員としてのアイデンティティが再認識されたという側面もあり、その意味において、部族の団結が強化されたとも言える。このように、部族自治権の追求は部族を分裂させると同時に団結させるという二つの相反する役割を果たしており、部族存続問題を複雑化させていることが、本論文で明らかになった。

ページ上部へ戻る